農地と相続
遺産分割による相続のような場合
相続は被相続人の死亡によって相続人が被相続人の権利義務を継承するものであり、一般の売買、賃借等のように権利の設定又は移転のための法律行為がないことから、農地法第3条の許可の対象とはなりません。
ただし特定遺贈(遺言で特定の田畑を贈与する)の場合には許可が必要になります
相続税の納税猶予特例制度
農業後継者である相続人が農地を相続し、その農地について農業を継続する場合、農地等を農業投資価格で評価した価額を超える部分に対応する相続税額の納税を猶予する相続税納税猶予制度があります
特例を受ける要件
被相続人の要件
- 死亡の日まで農業を営んでいた
- 農地等の生前一括贈与をした
農業相続人の要件
- 贈与税納税猶予の適用を受けた人で、農業者年金の経営移譲年金を受けるために、その推定相続人の一人に農地等を使用貸借による権利設定をして農業経営を移譲した人
- 相続か遺贈により取得した農地等で相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行う
また農業経営を行っていた個人が、推定相続人の一人に農地の全部と採草放牧地及び農用地区域内の準農地の3分の2以上を贈与した場合に、贈与税の納税を納税を猶予する贈与税納税猶予制度があります
平成21年度税制改正
農地等に係る相続税の納税猶予制度について、農地の有効利用を促進する貸付けも適用対 象とする等の見直しを行います。
農地法の転用規制の及ぶ農地(市街化区域外の農地)
- 改正後の農業経営基盤強化促進法の規定に基づき貸し付けられた農地も本制度の適用対象
- 20年間の営農継続要件を終生の農地利用要件に見直し
- 疾病等の場合の営農継続要件を緩和
- 猶予税額の納付に伴う利子税を引下げ(税率を年3.6%(現行6.6%)に軽減※)
※ 20年間の営農継続により猶予税額が免除される農地を除きます。 税率は特例により2.2%(現行4.0%)に軽減〔日銀の基準割引率0.5%の場合〕
農地法の転用規制の及ばない農地(生産緑地などの市街化区域内農地)
原則、現行どおり
ただし、上記 3及び4の措置は市街化区域内農地についても適用