公益法人認定法第5条に掲げる認定基準
- 公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること
- 公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること
- 当該法人の関係者に対し、特別の利益を与えないものであること
- 株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行う者として政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること(ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない)
- 公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公序良俗を害するおそれのある事業を行わないものであること
- 公益目的事業にかかる収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること( 収支相償)
- 公益目的以外の事業(収益事業等)を行う場合は、公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること
- 公益目的事業の比率が100分の50以上となると見込まれること
- 遊休財産額は、1年分の公益目的事業費相当額を超えないと見込まれるものであること
- 各理事について、当該理事及びその配偶者又は3親等内の親族である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えないものであること(監事についても同様)
- 他の同一の団体(公益法人又はこれに準ずるものとして政令で定めるものを除く)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えないものであること(監事についても同様)
- 会計監査人を置いていること(ただし、毎事業年度における当該法人の収益額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合はこの限りでない)
- 理事、監事及び評議員に対する報酬等について、内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額とならないような支給基準を定めているものであること
- 一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであること
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- 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること
- 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれにも該当するものであること
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- 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること
- 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること
- 理事会を置いていること
- 他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産を保有していないものであること(当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない)
- 公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めているものであること
- 公益認定の取消し等の場合、公益目的取得財産残額に相当する額の財産を類似の事業を目的とする他の公益法人等に贈与する旨を定款で定めているものであること
- 清算をする場合に残余財産を類似の事業を目的とする公益法人等に帰属させる旨を定款で定めているものであること
公益認定のための経理的基礎
経理的基礎は、「財政基盤の明確化」・「経理処理、財産管理の適正性」・「情報開示の適正性」の3つの要素から構成されます。申請時に、それぞれどのように審査されるかは次のとおりです。
財政基盤の明確化
申請に際して提出する貸借対照表、収支(損益)予算書等より資産・負債の状況や事業収支の見込みなど財務状態について審査されます。 法人の事業規模により、必要に応じて今後の財務の見通しについて追加的に説明を求められることがあります。
特に収入見込みについては、法人の規模に見合った事業実施のための収入が適切に見積もられているかを確認するために、寄附金収入については、寄付金の大口拠出上位5者の見込み、会費収入については会員数などの積算の根拠、借入れの予定があればその計画について、申請書の添付書類に記載する必要がある
経理処理、財産管理の適正性
経理処理、財産管理の適正性については、次の項目で審査されます。
- 法人の財産の管理、運用について理事、監事が適切に関与する体制がとられているか
- 開示情報や行政庁への提出資料の基礎となる十分な会計帳簿を備え付けているか
- 法人の支出に使途不明金がないか
- 会計帳簿に虚偽の記載がないか
- その他不適正な経理が行われていないか
情報開示の適正性
情報開示の適正性については、外部監査を受ける場合はいいのですが、外部監査を受けない場合においては、費用及び損失の額又は収益の額が1億円以上の法人については監事(2人以上の場合は少なくとも1名)に公認会計士又は税理士がいること、当該額が1億円未満の法人については監事に企業やその他の非営利法人の経理事務を例えば5年以上従事した者がいれば、適切に情報開示が行われるものとして取り扱われます。
上記のような体制にない法人においては、公認会計士、税理士又はその他の経理事務の精通者が法人の情報開示にどのように関与するのかという説明を申請書の添付書類に記載する必要があります。
経理事務の精通者については、形式的に企業会計の従事年数なり、一定の資格者なりを定めることはしませんし、有償無償も問いませんが、どのような者が会計に関与しているかの説明をもとに個別に判断されます。
公益認定を受けるための技術的能力とは
公益認定を受けるために必要な「技術的能力」とは、事業実施のための技術、専門的人材や設備などの能力の確保のことをいいます。 例えば、「検査検定事業」においては、人員や検査機器の能力の水準の設定とその確保が掲げられています。
法人の中核的事業において技術的能力が欠如していると判断された場合には、公益法人として不認定となることもありえます。 また、事業を行うにあたり法令上許認可等を必要とする場合には、当該許認可等があったこと等証する書類を申請時に添付します。
公益認定を受けるための特別利益の非供与とは
公益法人の財産は、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的として、公益目的事業に使用されるべきものであり、公益法人から他の団体等に社会通念上不相当な利益が移転し、受入先において財産を営利事業や特定の者のために使用されることは適当ではありません。
また、公益法人が寄附により受け入れた財産を社員、理事等の法人の関係者や営利事業を営む者等の特定の者の利益のために利用されることが認められると、公益法人に対する信頼が損なわれ、国民からの寄附の停滞を招くおそれもあります
このようなことを防止するため、法人の関係者や営利事業者等に特別の利益を与えないことが公益認定の基準として設けられています。
特別の利益とは、利益を与える個人又は団体の選定や利益の規模が、事業の内容や実施方法等具体的事情に即し、社会通念に照らして合理性を欠く不相当な利益の供与その他の優遇がこれに当たり、申請時には、提出書類等から判断されます。
公益法人認定法第5条第4号では、「寄附その他の特別の利益」と定められていますが、寄附を行うことが直ちに特別の利益に該当するものではありません。 他の法人への助成金や補助金についても、それをもって直ちに特別の利益に該当するものではなく、不相当な利益の供与に当たるもののみ問題となります
公益目的事業の収支相償の判断について
収支相償とは、公益認定法第5条第6号の「公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えない」かどうかを指します。 この原則は、公益目的事業を無償または低廉な対価で実施することによって、受益者の範囲をできる限り拡大して、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するために設けられたものです。
まず第一段階では、公益目的事業単位で事業に特に関連付けられる収入と費用とを比較し、次に第二段階で、第一段階を満たす事業の収入、費用も含め、公益目的事業を経理する会計全体の収入、費用を比較する。
遊休財産額が制限を超えないと見込まれること
遊休財産とは法人の純資産に計上された額のうち具体的な使途の定まってい財産を言います。この遊休財産の額が1年間の公益目的事業の実施費用に準ずる額を超えてはいけません。 これにより財産保有が目的といってもおかしくないような、遊休資産の多い法人については公益認定されません。
もっとも、ここでも控除対象財産が認められています。たとえば公益目的保有財産や寄付者の定めた使途に従って使用したり保管している財産等は控除されます。
下記の欠格事由に該当する場合には、公益法人への移行認定を受けることができません
- 理事、監事、評議員のうちに一定の要件(公益認定を取り消された公益法人の業務を行う理事であって、取消しから5年を経過していない等)に該当する者がいる
- 定款又は事業計画の内容が法令や行政機関の処分に違反している
- 事業を行うにあたり法令上必要な行政機関の処分に違反している
- )国税又は地方税の滞納処分が執行されていたり、滞納処分終了日から3年を経過していない
- 暴力団員等がその活動を支配している
- 従来の主務官庁の監督上の命令に違反している